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【労務】停電による振替出勤に関する労務上の注意点
2023/06/16
現在、深刻な電力不足により、ベトナム北部では計画停電または予期せぬ停電が頻繁に発生しており、製造会社をはじめ、多くの会社の事業活動に深刻な影響を与えている。
停電が発生した際の企業における労務上の注意点を本ニュースで案内する。
2019年労働法第99条第3項では、使用者の過失によらない停電・断水の場合は,両当事者は以下のように休業時の賃金を合意することが定められている。
- a) 休業が14営業日以下の場合、休業時の賃金は合意によるが、最低賃金を下回らない。
- b) 休業が14営業日を超える場合、休業時の賃金は合意によるが、当初の14日間については最低賃金を下回らないことを保証する。
実際に、予期せぬ停電や計画停電が発生していることを踏まえ、労働・傷病兵・社会問題省は労働者の休業・振替出勤時の対応についてオフィシャルレターを案内した。
- 予期せぬ停電
656/LDTBXH-LDTL号によると、事前通知なしで停電した場合、会社は労働者を休業させるとともに、1994年労働法第62条(2019年労働法第99条に該当)に従って休業手当を支払う。
また、労働者に上記の休業期間を振替出勤させる場合、2019年労働法第98条に基づいて、残業手当を支払わなければならない。
- a) 通常の日の場合、少なくとも 150%
- b) 週休日の場合、少なくとも 200%
- c) 祝日、旧正月、有給休暇の場合、少なくとも 300%。日給の労働者については祝日、旧正月、有給休暇の賃金をさらに支払う。
- 計画停電
労働・傷病兵・社会問題省が案内した計画停電に関するオフィシャルレター(2007年4月13日付51/TTr-CSLD号および2010年3月8日付656/LDTBXH-LDTL号)によると、計画された停電で事前に通知される場合、会社は労働者が月間で平均4日の休みを保証する場合において生産時間および労働者の休暇時間を調整する権利がある。
また、労働法第111条に従って、週休日を日曜日またはその他の確定した曜日に調整する権利がある。ただし、就業規則にその内容を規定しなければならない。
この場合、生産需要・事業環境に応じた対応であるため、予期せぬ停電の対応とは異なり、労働者に休業手当や残業手当を支払う必要はない。
- 実際の適用
実務上、予期せぬ停電の対象となった会社は、計画停電の場合のように休業手当や残業手当を支払わず、振替出勤を行うことを希望されるケースが多い。
弊社の見解としては以下の条件を満たす場合には、このような対応を実施できると考える。
・労働者または勤務場所における労働者代表組織(もしあれば)と下記の内容について合意する。
「生産需要・事業環境に応じて必要な場合には、週休日と出勤日を振り替えることがある。この場合には、労働者が週休日に勤務し、他の勤務日を週休日とすることができる。この振替休日については賃金の変更はなく、また週休日に勤務しても残業時間とはみなされない。」
・就業規則に明確に規定し、労働局に提出のうえ承認を受ける。
・振替出勤日について労働者に事前通知する。
上記は法令および弊社の見解に基づいた対応であり、実務上は管轄地域や管轄官庁の担当官によって異なる可能性もある。そのため、より詳細な案内については、直接管轄当局に事前確認することを推奨する。
参考法令: