Reportレポート

画像または映像の所有権・使用権の譲渡に関する外国契約者税の規定について

2023/08/24

  • Le Ngoc Quoc Bao

はじめに
 ベトナム企業が、ベトナム国内において広告・経営の目的で、外国のサプライヤーの画像または映像の所有権を使用するケースが多い。これにより、外国のサプライヤーが得た収入は、外国契約者税の課税対象となる。なお、収入が「所有権の譲渡」によるものか、または「使用権の移転」によるものかによって外国契約者税の税率が異なる。
 本稿では、外国のサプライヤーの画像または映像所有権・使用権の譲渡に関する外国契約者税の規定について説明する。

1.ベトナムの知的所有法の規定
 2009年・2022年に改正されたベトナムの2005年知的財産法に基づくと、知的財産権とは、組織又は個人が有する権利であり、著作権、著作隣接権、工業所有権および植物品種の権利を含むとされている。著作権・著作隣接権の譲渡および著作権・著作隣接権の使用権の移転の区別について、知的財産法では以下の通り規定されている。

第45条 著作権・著作隣接権の譲渡に関する総則
 著作権・著作隣接権の譲渡とは、契約又は関係法令に基づいて著作権所有者および著作隣接権所有者が知的財産法に規定される所有者の財産権を、他の組織・個人に対して譲渡することである。

第47条 著作権・著作隣接権の使用権の移転に関する総則
 著作権・著作隣接権の使用権の移転とは、著作権所有者・著作隣接権の所有者が、他の個人・組織に対して、知的財産法に規定される所有者の権利の一部又は全部を一定期間に使用することを認めることである。

2.外国企業の著作権・著作隣接権の譲渡に関する税務上の規定
(1)法人税上の規定
 ベトナム国内で、知的財産権および知的財産使用権の提供を行った外国人・外国企業の納税・申告義務について、財務省発行の2014年8月6日付通達No.103/2014/TT-BTC第7条3項では、以下のように規定されている。
「著作権からの収入とは、知的財産権および知的財産使用権の譲渡、技術の移転、ソフトウェアライセンスの譲渡(著作権・著作隣接権の使用権の移転、作品所有権の譲渡、工業所有権の譲渡、技術やソフトウェアライセンスの移転を含む)といった形式による支払いから生じた収入である」
 なお、通達No.103/2014/TT-BTCの第4条2項に基づき、著作権からの課税収入に対しては10%の法人税が適用される。

(2)付加価値税上の規定
 通達No.219/2013/TT-BTC第4条21項では、付加価値税の非課税対象取引として「技術移転法に基づく技術移転、知的財産法の規定に基づく知的財産権の譲渡」を定めている。なお、通達No.219/2013/TT-BTC第12条2項aに基づき、サービス提供活動による課税収入に対しては5%の付加価値税率が適用される。

(3)まとめ
上記の内容をまとめると以下の通りになる。

・ベトナム企業が外国のサプライヤーと、画像または映像所有権の譲渡契約書を締結する場合、外国のサプライヤーにとって、この譲渡活動から得る収入は外国契約者税の課税対象となる。知的財産権の譲渡に該当するため、付加価値税の課税対象外だが、この譲渡活動からの売上に対して10%の法人税がかかる。

・ベトナム企業が外国のサプライヤーと、画像または映像を一定期間において使用する(所有者は変更しない)契約を締結する場合も、外国契約者税の課税対象となる。この場合は、サービス提供活動と同じ取り扱いのため、売上に対して5%の付加価値税および10%の法人税が課される。

3.おわりに
 以上、外国のサプライヤーと画像または映像の所有権・使用権を譲渡する場合の外国契約者税について説明した。上記の点に注意し、実務上適切に外国契約者税を申告するよう留意してほしい。

参考
2005年知的財産法(2009年および2022年により改正された)
付加価値税についての詳細案内2013年12月31日の通達No.219/2013/TT-BTC
外国契約者税についての案内2014年8月6日の通達No.103/2014/TT-BTC

M000112-173
(2023年7月12日作成)

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