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自然災害防止基金への納付義務
2023/10/26
自然災害の予防及び制御活動を支援するため、企業とその労働者は毎年、本社が所在する市や省の自然災害防止基金に拠出することが義務付けられている。
本ニュースレターでは、政令第78/2021/ND-CP号(「政令 78号」) に基づく自然災害防止基金 (「基金」) への拠出義務に関するいくつかの重要な規制を紹介するとともに、改正政令草案に盛り込まれた新しい事項について説明する。
<政令78号の概要>
1. 拠出義務対象者:
(1) 企業(ベトナム資本100%の企業、外国投資企業を含む)
(2) 企業のベトナム人労働者(外国人労働者を除く)
政令78号第14条において、免除、減額・納付延期の対象者が定められている:
・免除対象者:
+ 当年度に、資産、工場、設備が自然災害により損害を受け、資産総額の0.02%を超える金額の修理や購入が必要となった企業
+ 当年度中に、地区人民委員会の確認を得て連続5日以上生産・営業を停止している企業
+ 当年度について、法人所得税の納付が免除される企業
+ 納付時点で、生後12か月未満の子供を育てている女性労働者
・減額・延期の対象者:
+ 法人税減税の対象となる地域の企業は基金拠出金の減額や延期の検討対象とされ、当局の判断により最終決定される。基金拠出金の減額率は、税務当局が毎年発表する法人税の減額率と同一となる。
2. 拠出金額:
(1) 企業の場合:原則として毎年12月31日に税務署に対して提出される財務報告書に基づく資産総額の0.02%相当を拠出することとされているが、最低額はVND 500,000、最高額はVND 100,000,000とされている。納付額は、毎年管轄当局から送られる基金納付額・未納額等についての通知または当局のウェブサイト上公示などによって確認するできる。納付額が不明な場合は管轄の基金管理部門に問い合わせて確認する必要がある。拠出金額は法人税の計算時に損金として計上できる。
(2) 労働者の場合:地域別最低賃金の2分の1を、労働契約に基づく平均月間労働日数で割った金額を納付する。複数の企業と契約を締結する場合は、労働契約期間が最も長いものに基づいて毎年一回分のみ納付する。
3. 納付期限:
少なくとも50%を毎年7月末までに、残額を11月末までに納付する必要がある。
<改正草案の概要>
現在、政府から政令78号の条項を修正及び補足する改正草案が公表され、その中で免除対象者のうち「生後12か月未満の子供を育てている女性労働者」との規定を「妊娠中または生後36か月未満の子育て中の女性」に修正する旨が提案されている。
以上、自然災害防止基金への拠出義務に関する重要な規定について説明した。特に、拠出金の納付額不足、未納、納付遅延となっている企業、労働者からの拠出金徴収・支払計画のリストが不完全であるか提供していない企業については行政ペナルティを科せられるリスクがある。ペナルティの額は違反のレベルに応じてVND600,000からVND100,000,000である。
企業は自然災害防止基金に関する規定を理解し自社の現状を確認するとともに、必要に応じて追納・計画の修正などを行う必要がある。新たな政令が確定し発表された際には弊社ニュースで案内する。