非商業用輸入商品に係る仕入VAT控除の要件について
2024/02/20
- Mai Thi Dung
はじめに
非商業用輸入商品とは、海外の団体や個人からベトナム国内の団体や個人に贈られる寄贈品・贈呈品であり、規定に従って輸入された非商業用の商品である。2015年1月1日以前は、非商業用輸入商品に係る仕入付加価値税(VAT)の控除に関する規定がなかった。そのため、税務局による判断も一貫性がなく、仕入VATの控除が認められない事例も多くあった。しかし2015年1月1日より、非商業用輸入商品の仕入VAT控除に関する詳細な規定が制定され、要件を満たす場合は、仕入VATの控除が認められることになった。本稿では、具体的な規定の内容や、仕入VATの控除のために必要な証憑について説明する。
1.仕入VAT控除の基準及び要件
2013年12月31日付、財務省発行の通達第219/2013/TT-BTC号第14条と第15条、及び同通達の一部を改正・補足した通達第26/2015/TT-BTC号の第1条では、以下のすべての要件を満たした場合に、仕入VATの控除が認められると規定されている。
(i)VAT課税売上取引(商品またはサービスの販売取引)に対応する仕入取引を行った場合
(ii)法律の規定に従った適正なインボイス(または外国契約者に代わって外国契約者税を納付した場合はその納税証明書)を入手している場合
(iii)2,000万ドン以上の取引(輸入取引を含む)の場合は、銀行送金証明書などの非現金手段により決済されたことを証明できる書類を入手している場合。規定による例外を除く(現金支払いは原則として認められない)
2.2015年1月1日以前の規定
通達第219/2013/TT-BTC号第14条と第15条では、仕入VATの控除には上記(i)(ii)(iii)の要件すべてを例外なく満たす必要があると規定されていた。しかし、非商業用輸入商品の場合は、上記の要件(iii)を満たさない輸入取引がほとんどであり、外国当事者に対する決済証明書類が不足していることが多い。そのため、仕入VATの控除が認められない事例が多くあった。
通達第219/2013/TT-BTC号のガイドラインに加え、2014年8月14日にはオフィシャルレター第3217/TCT-KK号が税務総局から発行されており、以下のように記載されている。
「非商業用輸入商品として税関申告書で申告された輸入商品は、商業目的で購入されたものではないため、支払い義務が発生しない。当該商品に関する売買契約、インボイス、及び支払い証憑もないことが通常のため、企業は当該商品の仕入VATを控除できない」
3.2015年1月1日以降の規定
通達第219/2013/TT-BTC号第15条の一部を改正・補足した、通達第26/2015/TT-BTC号第1条第10項(2015年1月1日より有効)が発行された。通達第26/2015/TT-BTC号では、銀行送金証明書などの非現金手段により決済されたことを証明できる書類を入手していなくとも、仕入VATを控除できることが規定されている。以下は、新しい規定の内容である。
「2,000万ドン以上の仕入取引(輸入商品を含む)に関する非現金支払いの証明書があること。ただし、輸入仕入商品・サービスの価格が2,000万ドン未満(VATを含む価格)である場合、及び企業が海外の団体や個人からの寄贈品や贈呈品などの商品を輸入する場合を除く」
そのため企業が非商業用輸入商品を輸入した場合、また、当該輸入商品が通達第219/2013/TT-BTC号第14条(通達第26/2015/TT-BTC号第1条で改正・補足)に規定されている通りVAT課税売上取引に対応する場合は、以下の書類を用意すれば、企業は仕入VATを控除することが可能となる。
・非商業用輸入商品の通関申告書
・会社名や税コードなどすべての情報が正確に記載されている輸入品に対するVAT納付証明書
おわりに
以上、非商業用輸入商品に係る仕入VAT控除の要件について述べた。通達第26/2015/TT-BTC号により、非商業用輸入商品の仕入VATの控除要件は緩和されたが、通関申告書や適切なVAT納付証明書については依然として必要になるため、留意が必要である。なお、非商業用輸入商品における仕入VAT控除の案内に関する2020年11月10日付ハノイ市税務局発行オフィシャルレター第97742/CT-TTHT号、及び2021年12月1日付ホーチミン市税務局発行オフィシャルレター第9251/CTTPHCM-TTHT号についても参照していただければ幸いである。
参考
・通達第219/2013/TT-BTC号:VAT法のガイドライン
・通達第26/2015/TT-BTC号:通達第12/2015/ND-CP号でVATに対する税務管理に関するガイドライン、及び販売インボイスとサービス提供に関する通達第39/2014/TT-BTC号の一部条項の改正・補足
・2014年8月14日付オフィシャルレター第3271/TCT-KK号
・2020年11月10日付オフィシャルレター第97742/CT-TTHT号
・2021年12月1日付オフィシャルレター第9251/CTTPHCM-TTHT号
M000112-179
(2024年2月20日作成)