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【税務】ベトナムにおけるグローバルミニマム課税の最新動向

2024/08/20

2023年12月配信のニュースレターの通り、ベトナム政府はグローバルミニマム課税に関する決議107/2023/QH15を発行している。本決議は2024年1月1日から適用されており、2024年度以降の会計年度に関わるものである。現在の状況について最新情報をお知らせする。

1. 決議107/2023/QH15に関する詳細規定の発行について
現在、財務省は、決議107/2023/QH15 に関する詳細規定を策定するため、税務総局を担当機関として指定している。規定草案を政府に提出する期限は2024年10月31日であり、政府の承認を受け次第、正式に発行される予定である。詳細規定の正式発行は今年の年末頃の見込みであり、企業が具体的な対応ができるようになるのはそれ以降となる。

2. 詳細規定発行までの対応について
一部の地方税務局が企業に対し決議適用に関するガイドラインを送付しており、情報収集を行っている。それを踏まえ、以下の対応が求められる。

(1) ベトナム法人は、グループ最終親会社に対して、2024年度からベトナム税務当局が追加法人税課税政策を実施することを早めに共有し、最終親会社が情報を把握できるようにする。

(2) 最終親会社の連結財務諸表における総収入金額に関する情報を確認し、2024年度に本決議の適用対象となるかを判断する。

※本決議の対象は最終親会社の連結財務諸表において、直近4年間で少なくとも2年間、7.5億ユーロ(Vietcombankの現在為替レート1EUR/VND=26,800に基づくと20兆VND相当)以上の総収入金額がある多国籍企業の子会社などが含まれる。

(3) 最終親会社の総収入が上記の(2)を満たす場合、ベトナム法人は本決議の適用対象である。その際には、以下の対応を行う必要がある。

・企業は税務局の担当者に連絡し、ガイドラインに従って必要情報を提供する必要がある。現在、既に一部の企業が税務局から情報収集の文書を受け取り、グループ企業やベトナム法人の売上や費用、税金などに関する情報提供を要求されている。なお、当該情報収集の文書は、本決議の影響評価のための情報提供であり、正式な申告方法や書類の提出方法については、詳細規定が発布され次第、指示が出る予定である。

・本決議によれば、適用対象となる企業グループに1つのベトナム法人しかない場合には、当該企業が2024年度から追加法人税の申告を担当する。グループに複数のベトナム法人がある場合には、最終親会社が1つの代表子会社(ベトナム法人)を指定し、当該企業が会計年度末から30日以内に申告担当であることを税務局へ通知しなければならない。

・追加法人税の申告・納税の期限は会計年度末から12カ月である。例えば、会計年度が2024年12月に終了する企業が本決議の適用対象であれば、追加法人税の申告・納税の期限は2025年12月31日となる。また、追加法人税の申告書一式には a. グローバルミニマム課税の規定上必要な情報が記載された申告書(最終親会社と子会社等の情報を記載する文書)、 b. 追加法人税の申告書、 c. 会計基準の相違点に関する解説文書が含まれる。

 

参考文献
決議107/2023/QH15