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【税務・労働】自然災害による損失・寄付金の税務処理と従業員支援の税務・労働法規定

2024/09/12

ベトナム北部を直撃した台風ヤギの影響により、多くの企業が建物や商品に損害を被っている。また、台風の影響を受けていない多くの企業が、被災した個人や、組織、地域への復旧支援を検討している。本ニュースレターでは、自然災害による損失・寄付金の税務処理と従業員支援の税務・労働法規定について解説する。

 

1. 自然災害による損失額の税務上の扱い

2013年の災害防止法によれば、今回の台風ヤギは「自然災害」とみなされる。

通達96/2015/TT-BTC(以下「通達96」)第2条第2.1項に基づき、自然災害により企業が損害を被った場合、以下の原則にしたがってその損失額は法人税上の損金算入として認められる。
・ 企業は自然災害、疫病、火災、その他の不可抗力による損失額を自ら算定する。
・ 損金算入が認められるのは、損失総額から企業が保険会社やその他の団体・個人から受け取る補償額を差し引いた金額となる。

必要な書類は以下の通りである。
・ 企業により作成された破損した資産や商品の目録。具体的な内容は下記の通りである。
+ 破損した資産や商品の価値、損失の原因、損失に対する責任の所在
+ 回復可能な資産および商品(ある場合)の種類、数量、価値
+ 企業の代表者が署名した破損品の在庫管理表
・ 保険会社による補償が認められた場合の補償請求書類(ある場合)
・ 補償責任を負う団体・個人に関する書類(ある場合)
・ 税務局が要求するその他の資料(資産の購入価格、減価償却計算表、損失の原因を示すカメラ映像等)

 

2. 災害復旧支援の税務上の取扱い

以下の災害復旧支援金・支援物資は法人税上の損金算入として認められる。
・ 通達96第2条第2.24項に基づき、企業が災害復旧のために法的に設立された団体に現金または物品を寄付する場合。
・ 政令第 93/2021/ND-CP 第 2 条の規定に従い、災害復旧支援を行う機関や団体(ベトナム祖国戦線中央委員会等)を通じて個人に寄付する場合。

必要な書類は以下の通りである。
・ 寄付の確認書(寄付を行う企業の法定代表者と、被災者または寄付を受け取る機関や団体の代表者の双方が署名したもの。(通達78/2014/TT-BTCの05/TNDNフォームに基づく)。
・ 物品を寄付する場合は支払方法の証拠(2,000万VND以上で現金以外の銀行振込などによる支払証憑)、現金寄付の場合は支払いを証明するもの。(通達219/2013/TT-BTC)

※税務局は、災害による実際の損害について、被災者が所在する地方政府に確認を求めることがある。

 

3. 従業員への支援

企業が台風ヤギによって被災した従業員を支援する場合、会社は以下のいくつかの支援方法を検討できる。

(1) 労働組合からの支援
ベトナム労働総連合の規定によると、会社に労働組合がある場合、労働組合は自然災害によって健康や財産に損害を受けた組合員や従業員に対して手当を
支給する。この支給は労働組合内部の支出規程やその他の関連文書(あれば)で規定されている。支給額の上限は1人あたり1回につき300万ドンである。会社の労働組合は上位組織である地区の労働組合に支給方法や対象従業員ごとの具体的な支給額を確認する必要がある。

(2) 会社からの支援
自然災害からの復旧を目的として、被災した従業員に臨時の災害手当を支給する。この手当は、労働法上会社が必ず支給しなければならないものではなく、任意で支給決定するものである。この災害手当を法人税上の損金算入とみなすためには、労働契約、集団労働協約、または会社の財務規程に支給対象や支給条件、具体的な支給額が記載されている必要がある。

 

参考文献:
・ 2015年6月22日付けの通達96/2015/TT-BTC
・ 2021年10月27日付けの政令93/2021/ND-CP
・ 通達219/2013/TT-BTC
・ 通達78/2014/TT-BTC
・ 2022年3月1日付けの決定4290/QD-TLD
・ 2022年3月1日付けの決定4291/QD-TLD