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【税務】関連当事者間取引の税務管理を規定する改正政令が正式公布
2025/02/20
2025年2月10日、政府は政令第20/2025/ND-CPを公布し、2020年11月5日付の政令第132/2020/ND-C(企業の関連当事者間取引に関する税務管理規定)の一部を改正・補足した。本改正には、関連当事者関係の定義や利息費用の控除ルールの見直し、情報提供義務の強化など、企業の税務管理に影響を与える重要な変更が含まれる。主な改正点は以下の通りである。
1. 関連当事者の判定基準の見直し
1.1. 貸付また保証に関する判定基準(「d関連当事者」)
企業の総借入残高額が、出資資本の25%以上かつ中長期借入の50%以上を占める場合、その貸付企業または貸付保証企業は関連当事者に該当する。ただし、以下の場合は適用除外となる。
・貸付企業または貸付保証企業が、銀行法に基づく経済組織であり、借入企業や被保証企業の経営・管理に関与せず、出資・投資も行っていない場合。(d.1)
・当事者同士が、直接・間接を問わず共通の管理・出資・投資を受けていない場合。(d.2)
1.2. 独立支店を関連当事者として明記する
関連当事者には、独立会計を行う支店で法人税の申告納付を行う者も含まれることが明確化された。
1.3. 金融機関とその子会社、支配会社、関連会社の関係(「m関連当事者」)
銀行法の規定に基づく金融機関とその子会社、支配会社、関連会社の関係は関連当事者となることが明確化された。
2. ベトナム国家銀行への情報提供義務
信用機関に対し、取締役会メンバー、会員評議会メンバー、監査委員会メンバー、社長、副社長および信用機関の定款に定められた同等の役職の情報を報告する義務が明記された。さらに、信用機関の議決権資本の1%以上を保有する株主の関連者や信用機関の関連会社も含まれる。情報提供は税務当局の要請に応じ、中央銀行の管理情報データシステムを通じて行う必要がある。
3. 損金不算入の利息費用の取り扱い
2020~2023年の期間において、以下の条件のいずれもを満たす場合:
‐ 金融機関とのみ関連当事者関係(d項に該当)を有する
‐ 改正政令第20/2025/ND-CPの新規定(d1-d2)に該当する
‐ 政令第132/2020/ND-CP第1条第2項に基づく関連者間取引がある
‐ 政令第132/2020/ND-CP第16条第3項に基づく損金不算入の利息費用が発生する
2024年度以降の法人税計算におけるこれらの利息費用の取り扱いは、以下の通りとなる。
・関連当事者が存在しておらず関連者間取引が発生しない場合
2023年度末までに次期繰越を行っていない損金不算入の利息費用を、残存期間にわたり均等配分し、控除することが可能である。
・関連当事者が存在し、関連者間取引が発生する場合
翌期以降に繰越可能な損金不算入利息費用の残高は、引き続き政令第132号第16条第3項b号に基づき処理される。
4. 政令132に基づく法人所得税確定申告書添付の附属書Iの様式改訂
金融機関に関する関連当事者として、「m関連当事者」の項目が追加された。
政令第20/2025/ND-CPは2025年3月27日より施行され、2024年度の法人税課税年度から適用される。企業はまず、関連当事者の定義変更や、改正政令に基づく控除対象外の支払利息費用の処理が自社に及ぼす影響を慎重に検討した上で、適切な移転価格算定資料と新しく求められる添付書類を作成する必要がある。
参考法令
政令第 20/2025/ND-CP 2025年2月10日