2011年10月31日号

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項 目

1. 法人税(CIT)

1.
従業員の大量雇用企業の2011年度法人税納税期限延期に関する2011年10月11日付政府首相発行決定Decision 54/2011/QD-TTg号

2011年10月11日付で政府首相は、従業員を大量雇用している企業の2011年度法人税の納税期限延期に関する決定Decision 54/2011/QD-TTg号を発行した。本決定の要点は以下の通りである。

適用範囲
本決定が適用されるのは以下の条件を満たす企業である。

  • 農林水産業、縫製業、皮靴業、電子部品の生産・加工および経済・社会インフラの整備・建設業の事業活動より収益を得ている。
  • 2011年の総従業員数が300人超である(労働契約が3ヶ月未満の従業員は含まれない)。

納税期限延期対象法人税

  • 四半期毎の法人税予定納税額および2011年度の確定申告納税額の納付期限は延長可能である。
  • 納税期限延期可能な税額は、上記の活動以外の事業内容からの所得による税額を含まない。
  • 企業は、納税期限延期可能な事業活動による所得と、納税期限延期不可能な事業活動による所得を区別して計上する必要がある。区別して計上できない場合、納税期限延期可能な税額は、納税期限延期可能な事業活動による所得と、すべての事業活動による所得総額との比率に基づいて算定される。

延期後の納税期限

  • 2011年第1四半期の法人税:2012年4月30日
  • 2011年第2四半期の法人税:2012年7月31日
  • 2011年第3四半期の法人税:2012年10月31日
  • 2011年第4四半期の法人税および2011年度確定申告の法人税:2013年3月31日

本決定は2011年11月30日より有効となる。

2.
為替差損益の計上に関する2011年9月21日付ビンズン省税務局発行オフィシャルレター Official Letter 13140/CT-TT&HT号

本オフィシャルレターによると、企業の主要事業に直接関係する為替差損益の場合は、主要事業による収益若しくは費用として計上することが可能とのこと。また、企業が法人税に関する優遇措置を享受しているならば、当該為替差益についても法人税優遇措置を受ける事ができる。

3.
記帳通貨と外貨建資本譲渡価格に関する2011年10月14日付ビンズン省税務局発行オフィシャルレター Official Letter 14805/CT-TT&HT号

本オフィシャルレターによると、企業が記帳通貨を外貨としている場合、外貨建資本の譲渡価格は当該外貨で計算される。一方で、企業が記帳通貨をベトナムドンとしている場合、譲渡価格は譲渡時点の為替レートを用いて当該外貨からベトナムドンに換算する必要がある。

2. 個人所得税(PIT)

1.
2011年8月から12月までの個人所得税の源泉徴収に関する2011年10月12日付税務総局発行オフィシャルレター Official Letter 3637/TCT-TNCN号

本オフィシャルレターによると、2011年8月から12月までの間に、個人所得税法に定められている累進税率表のレベル1に該当する課税所得(各種控除後500万ドン/月以下)を得る個人の場合は、企業は個人所得税の源泉徴収を行う必要がない。

レベル2以上に該当する課税所得の個人に関しては、累進税率表に従い個人所得税の源泉徴収・納税が行われなければならず、レベル1に該当する課税所得の個人所得税分は免税されない。

3. 付加価値税 (VAT)

1.
従属支店の税務申告及び納税に関する2011年9月1日付ハノイ税務局発行オフィシャルレター Official Letter 21759/CT-HTr号

本オフィシャルレターによると、企業が本社所在地とは異なる地方で営業活動を行っている従属支店を有する場合、その従属支店の管轄地方税務局に対し、支店の付加価値税を申告・納税する必要があるが、法人税の申告は不要である。なお、企業は支店の法人税を本社の法人税に合算し、本社で申告・納税することになる。

2.
輸出向製品製造用の輸入原料が国内販売される場合の付加価値税に関する2011年10月6日付税関総局発行オフィシャルレター Official Letter 4919/TCHQ-TXNK号

本オフィシャルレターによると、企業が、輸出向製品製造用の輸入原材料を国内で販売した場合、遡って付加価値税を申告・納付しなければならない。なお、課税価額は通関申告時点の課税価格となる。

4. インボイス及び会計証憑

1.
インボイス紛失通知に関する2011年9月9日付ハノイ税務局発行オフィシャルレター Official Letter 22227/CT-HTr号

本オフィシャルレターによると、企業がインボイスの 2枚目(購入者保管用の複写版)を紛失した場合、紛失日から5日以内に管轄税務局にインボイスの紛失を通知しなければならない。なお、インボイスに関する2010年5月14日付政府発行政令Decree 51/2010/ND-CP号に基づき、そのインボイス紛失を税務局に通知しない場合は、行政処分として5百万ドンから2千5百万ドンの罰金が科される。

2.
輸出向け製品・サービスのVATインボイスに関する2011年10月10日付財務省発行オフィシャルレター Official Letter 13518/BTC-TCT号

本オフィシャルレターによると、2011年以降のインボイス制度の変更により、企業は輸出に関して、VATインボイスではなく輸出インボイスを使用しなければならなくなった。しかし、企業は輸出インボイスの自社印刷はできず、使用インボイスの制度変更に伴う、印刷業者の混雑等により輸出インボイスの入手ができない企業が数多くあった。そのため財務省は、企業がスムーズに事業を行えるよう、救済措置として2011年8月31日までに発行された輸出事業に関するVATインボイスの継続使用を認めた。

5. 人事労務

1.
ホーチミン市の企業に対する地域別最低賃金の変更実施及び試用期間の社会保険納付のガイダンスに関する2011年10月5日付ホーチミン市社会保険局発行オフィシャルレター Official Letter 3039/BHXH-THU号

本オフィシャルレターでは、ホーチミン市の企業に対し地域別最低賃金の変更実施および試用期間中の社会保険納付に関する実施ガイダンスを示した。本オフィシャルレターの要点は以下の通りである。

  1. ホーチミン市における企業で最も単純な業務を行う労働者への最低賃金は以下の通りである。
    • ホーチミン市の各区、およびCu Chi郡、Hoc Mon郡、Binh Chanh 郡およびNha Be郡における企業の場合:200万ドン/月
    • ホーチミン市Can Gio 郡における企業の場合:178万ドン/月
  2. ホーチミン市における会社の本社と労働契約を締結し、他の地方で働く労働者の場合は、労働契約に記載されている職場に適用される最低賃金に基づいて給与を決定する。
  3. 企業と労働者が試用期間を明記した試用契約書を締結した場合、企業と労働者は当該試用期間中に社会保険を納付する必要はない。
    • 3ヶ月以上、若しくは期限の定めのない契約であれば、その試用期間に対して社会保険を納付しなければならない。
    • 試用期間中の社会保険算出の基礎となる基本給、賃金は、労働契約に明記されたものを使用する。
2.
医療保険納付違反に対する罰金に関する2011年10月17日付政府発行政令 Decree 92/2011/ND-CP号

本政令によると、企業が医療保険加入対象となる労働者の医療保険(会社負担分)を納付しなければ、以下の通り罰金が科される。

  • 1~10人の労働者分を納付しない場合:50万ドン~100万ドン(25米ドル~50米ドル相当)
  • 11~50人の労働者分を納付しない場合:100万ドン~500万ドン(50米ドル~250米ドル相当)
  • 51~100人の労働者分を納付しない場合:500万ドン~1千万ドン(250米ドル~500米ドル相当)
  • 101~500人の労働者分を納付しない場合:1千万ドン~1千5百万ドン(500米ドル~750米ドル相当)
  • 501~1000人の労働者分を納付しない場合:1千5百万ドン~2千万ドン(750米ドル~1000米ドル相当)
  • 1001人以上の労働者の分を納付しない場合:2千万ドン~3千万ドン(1000米ドル~1500米ドル相当)

6. 会計

1.
中小企業の外貨記帳に関する2011年10月4日付財務省発行通達Circular 138/2011/TT-BTC号

本通達は、中小企業に適用される会計制度を規定する2006年9月14日付財務省発行決定Decision 48/2006/QD-BTC号を修正・追加したものである。

本通達では、外資系中小企業(以下、「企業」という)が記帳通貨に外貨を使用した際の事項を以下のように定義している。

  1. 外貨を記帳通貨とするためには、企業は下記の条件を満たさなければならない。
    • 当該外貨が企業の商品販売及びサービス提供に多く利用され、販売価格に大きく影響を与え、かつ当該外貨により商品販売価格を設定している。
    • 当該外貨が企業の商品・サービス購入に多く利用され、かつ従業員の給与の計算、ならびに原材料および商品の購入並びにサービスを受ける際の支払いに多く利用される。

    なお、以下のいずれかの場合に当てはまる企業は、海外における親会社が採用している記帳通貨を採用できる。

    • 企業は親会社のための生産加工を目的として設立され、原材料の大量は親会社から購入され、加工品は親会社へ輸出される場合
    • 企業と親会社との取引の割合、または親会社が採用している記帳通貨での取引の割合が70%超える場合
  2. 企業が外貨を記帳通貨とする際には管轄地方税務局に通知する必要がある。
  3. 記帳通貨を外貨にした企業は、決算報告書を当該外貨からベトナムドンに換算し、ベトナムドン建ての決算報告書を管轄税務局に提出する必要がある。換算為替レートは、期末の中央銀行発表銀行間為替レートとする。

    ベトナムドンに換算された決算報告書は監査を受ける必要はないが、為替レート及び換算結果の正確性について監査法人からの確認を得る必要がある。

  4. 企業は新しい会計年度の開始時点からのみ 帳通貨を変更でき、前年の会計年度終了後10日以内に管轄税務局に記帳通貨の変更を通知しなければならない。

本通達は2012年1月1日から有効となる。

CIT Corporate Income Tax
法人税
IZ Industrial Zones
工業団地
PIT Personal Income Tax
個人所得税
JVs Joint Venture Companies
合弁会社
VAT Value Added Tax
付加価値税
MoF Ministry of Finance
財務省
FCT Foreign Contractor Tax
外国契約者税
MoIT Ministry of Industry and Trade
商工省
FA Fixed Asset
固定資産
MoLISA Ministry of Labour, Invalids
and Social Affairs
労働傷病兵社会福祉省
GDC General Department of Customs
税関総局
MPI Ministry of Planning and
Investment
計画投資省
GDT General Department of Taxation
税務総局
OL Official Letter
オフィシャルレター
EPE Export Processing Enterprise
輸出加工企業
SBV State Bank of Vietnam
ベトナム中央銀行
EPZ Export Processing Zone
輸出加工区
SST Special Sales Tax
特別売上税