2013年7月31日号

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項 目

1. 2013年07月01日より有効となる付加価値税及び個人所得税の申告方法

1.
付加価値税の申告方法

2013年11月20日付で国会は、税務管理法の一部を修正及び補足する改正法を承認した。当該税法は2013年7月1日より有効となり、現在関連政令及び関連通達の発行を待っているところであるが、2013年6月28日付で財務省はオフィシャルレターOfficial Letter 8355/BTC-TCT号を発行した。その主な留意点は付加価値税の四半期申告である。

  1. 付加価値税(VAT)四半期申告の対象:
    直近の暦年一年間の商品販売・サービス提供による売上額が200億ドン以下の企業は、VAT四半期申告制度を適用しなければならない。営業を開始したばかりで直近の暦年一年間の売上がまだない場合には、月次で申告を行わなければならない。当該新設企業は、暦年一年間の売上が計上された時点で翌暦年三年間に月次あるいは四半期のどちらで申告するかを判断する。VATを月次或いは四半期のどちらで申告するかについては各企業で判断しなければならない。
    また、企業がVAT四半期申告制度の対象である場合、最初の四半期申告は2013年第3四半期となる。当該第3四半期の申告期限は2013年10月30日である。企業はVAT四半期申告の対象であるが、月次申告したい場合、税務局に通知書を付する必要がある。当該通知書の送付期限は2013年7月のVAT月次申告書提出期限(2013年8月20日)である。
  2. VAT四半期申告の適用期間:
    月次あるいは四半期の申告方法は、暦年3年間継続して適用される。2013年7月に決定した申告方法は、2013年7月1日から2016年12月31日までの期間、継続して適用しなければならない。
  3. 直近の暦年一年間の商品販売・サービス提供による売上額:
    当該売上額は、直近の暦年一年間において税務局に提出されたVAT申告書に明記された総売上額である。総売上額はVAT課税売上及びVAT非課税売上から成る。
2.
個人所得税(PIT)の申告方法

2013年7月より以下のケースに対する個人所得税は月次申告(期限:翌月の20日)から四半期申告(期限:翌四半期に該当する月の30日)に変更される。

  1. 納税者が税務局へ直接申告を行うケース(外国人が外国の本社から給与を受け取る場合)
  2. 企業が源泉徴収を行い、かつ税額が5,000万VND以下であるケース

詳細について2013年7月22日付政府発行の政令83/2013/ND-CP及び2013年6月28日付財務省発行のオフィシャルレター8355/BTC-TCTをご参照ください。

2. 個人所得税

1.
政府は、個人所得税法及び改正個人所得税法の一部の詳細説明及び実施ガイドラインに関する政令Decree 65/2013/ND-CP号を2013年6月27日付で発行した。

その主な留意点は以下の通りである。

  1. ベトナム居住者の条件の一つである住居賃 貸契約期間が延長される。
    居住者(個人所得税の課税対象)とは、下記各号の何れかに該当する者である。

    • 暦年年度中及び入国日から起算して連続12ヶ月以内に延べ183日以上ベトナムに滞在している者
    • 課税年度において賃借期間が183日以上(旧規定は90日以上)の賃貸契約に基づく居住目的として賃借された住居がある者

    また、課税年度において賃借期間が183日以上の賃貸契約による住居があるが、ベトナム滞在日数が当該年度において183日未満である場合、その者が他国の居住者であることを証明できれば、ベトナムの非居住者となる。

  2. 一定の子女の教育費は個人所得税の課税対象外となる。
    企業が支払う外国人労働者の子女の教育費(ベトナムにおける幼稚園から高校までの教育費)は個人所得税の課税対象外となる。この場合、企業の社名が記載されている学費納付のインボイスを有する必要がある。当該教育費が外国人労働者の給与に含まれ、当該外国人労働者が支払う場合には、個人所得税の課税対象となる。
  3. 駐在員のベトナムへの引越手当は課税対象外となる。
    極めて厳しい経済状況の地域への一時引越手当、外国人駐在員のベトナムへの一時引越手当、ベトナム人の外国への一時引越手当は個人所得税の課税対象外となる。
  4. 下記の手当が個人所得税の非課税所得に追加される。

    • 有害若しくは危険な業務に従事する、又は危険で有害な職場で就労する場合に支払われる手当
    • 不可抗力・業務上 の事故・職業病・出産或いは養子縁組・労働能力喪失、定年退職、退職、離職、失業による手当、又は労働法及び社会保険法に従うその他の手当
    • 事業内容による特殊な手当

    しかし、上記の手当については、課税所得を計算する際に所得から控除される上限金額を別途関連管轄機関が規定する。

  5. 基礎控除及び扶養控除額が引き上げられる。

    • 基礎控除額は月額4,000,000ドンから9,000,000ドンへ、扶養控除は一人当たり月額1,600,000ドンから3,600,000ドンに引き上げられる。
    • 扶養者を確定するための基準としての月次平均総所得は50万ドン以下から100万ドン以下に引き上げられる。

なお、累進税率表については変更がない。
同政令は2013年7月1日より有効となる。

2.
労働契約を締結していない、又は労働契約期間が3ヶ月未満である労働者の個人所得税について

2013年7月8日付で財務省は、2013年7月1日より有効となる改正個人所得税法の一部の実施ガイダンスに関するオフィシャルレターOfficial Letter 8817/BTC-TCT号を発行した。その主な留意点は以下の通りである。

労働契約を締結していない、または労働契約期間が3ヶ月未満である労働者については、当該労働者が税コードを取得しているかどうかにかかわらず、一回の受け取りにつき課税所得が200万ドン以上(旧規定は100万ドン以上)である場合、10%の税率で個人所得税が源泉徴収される。

3.
扶養者の税コードの発行

2013年7月1日より、新しく扶養者を登録する際には、個人所得税の納税者は通達Circular 28/2011/TT-BTC号に代わる新通達に添付される扶養者登録フォーム16/DK-TNCN号を作成する必要がある。このフォームに明記される情報に基づき、税務局は当該扶養者に税コードを発行し、納税者に通知する。(通達Circular 28/2011/TT-BTC号に代わる新通達はまだ発行されておりません。引続き本ニュースレターでフォローして参ります。)
2013年7月1日前に登録された扶養者については、引き続き扶養控除される。当該扶養者の税コードは、税務局が2013年度個人所得税申告確定時点に発行する。

3. その他

1.
長期投資損失引当金の計上について

財務省は、引当金の計上及び利用の施行ガイドラインに関する通達Circular 228/2009/TT-BTC号の第5条第2項の修正・補足となる通達Circular 89/2013/TT-BTC号を2013年6月28日付で発行した。本通達によると、企業は有限責任会社や合弁会社などの法人に投資し、被投資法人が赤字になる場合、払込資本金及びその他長期投資額(「その他長期投資」の定義は当通達上規定がありません。「その他長期投資」の定義については、引続き本ニュースレターでフォローして参ります。)に対して、投資企業は引当金を計上する必要がある。

具体的には、投資前の計画通りに赤字になる場合以外で、被投資法人の純資産額が払込資本金総額を下回った場合、投資企業は払込資本金に対して引当金を計上する必要がある。
長期投資損失引当金は以下の通りに算定される。
長期投資損失引当金=(被投資法人の払込資本金総額-被投資法人の純資産額)×(投資企業の払込資本金額/被投資法人の払込資本金総額)
同通達は2013年7月26日より有効となる。

2.
遅延納税額の分割払いについて

2013年7月22日付で政府は、税務管理法及び改正税務管理法の一部の詳細な規定及び施行ガイダンスに関する政令Decree 83/2013/ND-CP号を発行した。その留意点の一つは遅延納税額の分割払いについての規定である。詳細は、以下のとおりである。

税務機関に強制的に遅延納税額を徴収される納税者は、当該遅延納税額を一回で支払えない場合、以下の条件を全て満たせば、遅延納税額を分割払いできる。

  • 金融機関からの保証を有すること。
  • 遅延納税額及び遅延利息の分割払い計画及び遅延納税額の月次分割額について誓約書を有すること。

当該分割払いの期間は、税務機関から発行された遅延納税額の強制的徴収に係る決定書上の徴収期間初日から最大12ヶ月である。
当該納税者は上記の誓約書に違反する場合、保証人となっている金融機関は、当該納税者の代わりに当該遅延納税額及び遅延利息を支払わなければならない。

上記規定以外の、本政令に関するその他留意点については、次号以降の本ニュースレターで取り上げます。
本政令は2007年5月25日付政令Decree 85/2007/ND-CP号及び2010年10月28日付政令Decree 106/2010/ND-CP号に代わり、2013年9月15日より有効となる。

3.
社会保険料の計算根拠となる月給の上限額引き上げ
内容 7月1日前 7月1日後
遅延日数の確定 祝日を含まない 祝日を含める
遅延利息の計算 0.05%/日
  • 遅延日数が90日以内:0.05%/日
  • 遅延日数が90日以上:0.07%/日

なお、7月1日以前に納税を遅延している場合、7月1日以降は上記の原則に従い遅延日数及び遅延利息が計算される。
(2013年6月28日付の財務省発行のオフィシャルレター8355/BTC-TCTより)

4.
社会保険料の計算根拠となる月給の上限額引き上げ

2013年7月1日より基礎月給額(旧:一般最低賃金)が1,050,000 VNDから1,150,000 VNDへ引き上げられる。
(2013年6月27日付政府発行の政令66/2013/ND-CPより)

それに伴い、社会保険料の計算根拠となる月給上限額(一般最低賃金の20倍相当額)が21,000,000 VNDから23,000,000 VNDへ引き上げられることとなる。