2020年8月号

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項 目

1. 個人所得税

外国人労働者のビザ、レジデンスカード取得費用を会社が負担する場合の個人所得税に関する2020年5月18日付税務総局発行オフィシャルレター2014/TCT-DNNCN号

本オフィシャルレターによると、
- 外国人労働者がベトナムの法人・駐在事務所等で勤務できる要件を満たすために、雇用者が責任をもって当該外国人のビザ・レジデンスカードの取得申請や延長費用を負担している場合は、当該ビザ・レジデンスカードの費用は外国人の給与賃金所得に合算しなくてよい。
- ベトナムの法人・駐在事務所等で勤務している外国人の海外出張時に発生するビザ費用の場合は、会社は財務規定等の社内規定及び2013年8月15日の通達111/2013/TT-BTC号第2条第2項đ.4点に従って出張旅費としてビザ費用を支払っており、(会社が上限額を設けている場合)上限額を超えていないのであれば、当該ビザ費用を外国人の給与賃金所得に合算しなくてよい。ビザ費用が財務規定等の社内規定において定められている上限額を超えている場合は、超過分は当該外国人の課税所得とみなされ、給与賃金所得に合算し、個人所得税を算出する必要がある。
- 会社が上記に規定する以外の外国人のためにビザ・レジデンスカード費用を負担する場合、当該費用は外国人の所得とみなされ、個人所得税上は当該費用を外国人の給与賃金所得に合算し、個人所得税を算出する必要がある。

2019年に実施する初年度確定申告と2020年度末の確定申告時の扶養者控除適用に関するバクニン省税務局発行オフィシャルレター2455/CT-TTHT号およびドンナイ省税務局発行オフィシャルレター7950/CT-TTHT号

これらの二つのオフィシャルレターでは、ベトナムで居住者とされた者の初年度の連続12か月(2019年8月~2020年7月)にかかる個人所得税確定申告について案内している。
バクニン省税務局の見解によると、新たに引き上げられた扶養控除額は議決954/2020/UBTVQH14号に従って2020年1月に遡って適用できる。税務申告支援システム(ソフトウェアHTKK4.4.3以上)において控除額の情報が更新されていない場合、納付者は税務局の窓口で申告書の原紙を提出できる。
ただし、ドンナイ省税務局によると、初年度(2019年8月~2020年7月)の個人所得税確定申告時には、2020年度分についても旧規定に基の扶養控除額を適用し、その後の暦年(2020年1月~2020年12月)の確定申告以降は改定後の扶養控除額が適用されるとの見解を出している。

個人所得税計算時の防災基金への強制拠出金の控除に関する2020年8月11日付税務局発行オフィシャルレター3275/TCT-DNNCN号

本オフィシャルレターによると、労働者が2014年10月17日付政令94/2014/ND-CP号に従って防災基金に拠出する場合、個人所得税計算時に当該金額を賃金所得から控除できる。

2. 外国契約者税

外国企業等による資本譲渡取引にかかる外国契約者税申告についての2020年7月17日付ハノイ市税務局発行オフィシャルレター66768/CT-TTHT号

本オフィシャルレターによると、会社X(外国法人)がZ氏(外国の個人)に会社Y(ベトナム法人)が有する全出資金を譲渡する場合、
• 付加価値税部分については、通達219/2013/TT-BTC号第4条第8.dに基づき対象外になる。
• 法人税部分については、以下のとおりに適用されるものと解釈できる。
- Z氏(譲受人)が外国法人の法人税部分を申告・控除・代納する責任を負う。(通達78/2014/TT-BTC号第14条第2cの参考)
- 申告納付期限は、
+ 管轄機関によって資本譲渡が承認された日より10日以内、または
+ 管轄機関の承認を得る必要がない取引の場合、譲渡契約において全当事者が合意した日より10日以内
- 申告手続きにおいては以下の書類を提出する必要がある。
+ 資本譲渡に関する法人税申告書(通達156/2013/TT-BTC号のフォーム05/TNDN)
+ 資本譲渡契約書の写し。譲渡契約書が外国語で作成されているのあれば、少なくとも譲渡人、譲受人、譲渡時期、譲渡の対象、各当事者の権利義務、契約額、支払期限、支払方法、支払通貨などの主な内容をベトナム語に翻訳する必要がある。
+ 管轄機関による資本譲渡承認決定書の写し(あれば)
+ 出資証明書の写し
+ 関連する送金証憑(原本)
- 申告手続き提出場所:資本譲渡の対象となるベトナム法人(上記の例では会社Y)を管轄する 税務局
(通達151/2014/TT-BTC号第16条第7bに基づく)

設備、ソフトウェアの輸入及び設備設定サービスの外国契約者税に関する2020年7月27日付ロンアン省税務局発行オフィシャルレター2099/CT-TTHT号

本オフィシャルレターによると、会社が外国契約者との間で以下の2種類の契約を締結する場合、A社およびB社は外国契約者税の対象になる。
契約書1: ドイツに企業A社との間の産業用制御コンピューターと制御ソフトウェアの輸入契約。本契約においてA社は産業用制御コンピューターと制御ソフトウェアのみをCIF条件に基づき販売する。(契約中には他のサービスは一切含まれない)
契約書2: マレーシア企業B社との間の産業用コンピューターシステムの設定サービス契約。
(A社とB社は同じグループに属するが、それぞれ独立した会社である。)
詳細は以下のとおりである。
1. 契約書1: - 産業用制御コンピューター輸入取引部分は外国契約者税の対象外である。契約書においては引渡地はベトナム国境であり(CIF)、Aはベトナム国内でサービス行っていないからである。
- 制御ソフトウェアの輸入に対しては、法人税: 10%、付加価値税:は対象外(ソフトウェアはVAT非課税のため)である。
2. 契約書2:
- コンピューターシステムのインストールサービスに対しては、法人税:5%、付加価値税:5%が課される
- B社がサービスを行うためにベトナムに作業員等を派遣する場合、当該作業員等がベトナムで働いている間の個人所得税を申告・納付しなければならない。課税所得には、外国法人が当該作業員等に支払った所得およびベトナム法人が当該作業員等のために立替えた費用を含む)

建設や設備の設置事業にかかる外国契約者税申告に関する2020年7月29日付税務総局発行オフィシャルレター3026/TCT-KK号

本オフィシャルレターによると、外国契約者が、以下に記載した通達103/2014/TT-BTC号第II章 第2項の第8条の条件のうち一つでも満さないものがある場合、ベトナム法人が外国契約者のために外国契約者税を控除・代納する必要がある。
1. ベトナムにおける常駐機関がある。またはベトナム居住者である。
2. 契約に基づくベトナムでの事業期間が当該契約書の発効日から183日以上になる。
3. ベトナム会計制度を適用しており、税務機関より税コードを発行されている。
建設、設備設置に関する外国契約者との契約に関しする税務申告および税務確定申告は、財務省発行通達156/2013/TT-BTC号第20条第3項に基づき、当該地方税務局長の決定に従い、建設、設置場所を管轄する地方税務局または下位の徴税担当部門に対して行う。

3. 法人税

支店から本社に移設される固定資産の償却に関する2020年7月27日付ロンアン省税務局発行オフィシャルレター2091/CT-TTHT号

会社が従属支店の全ての固定資産を本社へ移転し、その資産を製造や事業活動のために使用を継続する場合で、会社が規定に基づき当該資産の管理と償却を行うのであれば、(残存償却期間があるならば)会計帳簿の記録に従って減価償却を継続することができる。
固定資産の移設の過程で、当該固定資産について、有形固定資産法令の基準を満たす品質向上のための投資や、一部の部品の解体が行われた場合、
- 会社は価値や償却期間などの変更根拠を明細に記載した記録を作成しなければならない。
- 2013年4月25日付の通達45/2013/TT-BTC号第4条第4項に従って固定資産の取得原価、簿価、減価償却累計額、償却期間などの変更項目を再度確定し、計上する。さらに、支店から本社に移転される固定資産の解体と運送にかかる費用は通達96/2015/TT-BTC号第4条に定められた損金算入条件を満たせれば、法人税の計算において損金算入が認められる。

社員等の給与に課される個人所得税を会社が代納する場合の損金算入可否に関する2020年8月24日付ドンナイ省税務局発行オフィシャルレター 7955/CT-TTHT号

本オフィシャルレターによると、会社が外国人との間で個人所得税を含めた賃金(グロス給与)を支払う労働契約書を締結した場合、会社が当該個人所得税を代納しても会社は法人税計算において代納額を損金算入できない。
会社が外国人との間で個人所得税を含まない賃金(ネット給与)を支払う労働契約書を締結、会社が当該個人所得税を代納するのであれば、会社は法人税計算時にこの代納額を損金算入できる。
ただし、会社が、親会社から外国人に対して支払われた給与等に対する個人所得税を代納する場合には、当該代納額は法人税計算時に損金算入ができない。

工場移転時の固定資産の償却に関する2020年8月24日付ドンナイ省税務局発行オフィシャルレター7952/CT-TTHT号

本オフィシャルレターでは、固定資産の償却に関して3点のガイダンスを行っている。
1. 工場賃貸契約満了により会社が他の場所へ工場を移転する場合、工場にある固定資産については以下のとおり取り扱うものとする。
- 会社が固定資産を売却する場合、通達45/2013/TT-BTC号第8条第1項に基づき実施しなければならない。
- 会社が固定資産を売却できない場合、会社が当該資産をその後も継続して管理償却していたとしても、法人税上は当該償却額は損金算入できない。
- 会社が当該固定資産を移設でき、その後も生産活動や事業活動に使用する場合、移設により当該資産が一時的に稼働していない期間の減価償却額を損金算入できる。ただし、本規定の適用期間は12か月未満とする。
2. 加速償却法は技術革新企業のみに適用される。事業活動に固定資産を使用している会社が、工場移転を理由としてこの方法を適用することはできない。
3. 会社が通達45/2013/TT-BTC号付録1に規定された有形固定資産の償却期間と異なる期間で固定資産を償却するよう変更したい場合、以下の各手続きを実施しなければならない。
ステップ1: 固定資産の減価償却期間変更計画を立てる
ステップ2: 財務局に上記計画を提出する
ステップ3: 財務局の承認を得た後、会社から税務局に通知する

4. その他

議定41/2020/ND-CP号に基づく納税延期に関する2020年8月4日付税務総局発行オフィシャルレター3086/TCT-CS号

1. 外国契約者税の納税延期について
- 税務局に対して直接に申告・納税し、議定41/2020/ND-CP号の規定条件を満たす外国契約者は、納税延期の対象になる。
- ベトナム国内で営業している組織、個人が商品・サービスの購入者であり、外国契約者税を控除・代納する場合、当該外交契約者税は、納税延期の対象外になる。 2. 法人税の納税延期について
2019年確定申告に基づき納付するべき法人税のうち、最大20%までについて納税を延期できる。
2020年の第1、2四半期の法人税の予定納付額は納税延期の対象になるが、発生の都度申告・納付するべき不動産譲渡にかかる法人税額は対象外である。
3. 小企業・零細企業の定義
小企業・零細企業に属する独立支店や事業所が納税延期の対象になる場合、平均労働者数、売上高、資金源などもあわせて申告する。
4. 納税及び土地賃貸料の期限延期申請書の提出 納税者が税務局にオンラインで納税および土地賃貸料の納付期限延期申請書を提出したが、誤りがあった場合には、修正のための申請書は管轄税務局の窓口において直接提出し、事情を説明する必要がある。